近年施設で浸透しているオムツゼロ運動

日本は世界有数の長寿国です。
日本人の寿命が延び続けている一方で、75歳以上の約20%が要介護状態であるというデータもあります。
そんな中、特別養護老人ホームなどでは、入所者に対して、できるだけオムツを使わないようにしようという「オムツゼロ運動」が浸透してきています。
そのため、施設への勤務を考えている介護職はオムツゼロ運動について知っておきましょう。

要介護者にとっては、オムツに排泄するよりも、お手洗いで用をたすほうが気持ちいいものです。
これまでは、車椅子利用者で要介護レベルが高い人であれば、昼夜を問わずオムツを使用するのが普通とされていましたが、入所者の尊厳を保つことを目的として、このオムツゼロ運動が広がりました。

といっても急にオムツを外して健常者と同じ下着を身につけるのではなく、最初のうちは下着の内側に尿漏れ防止のパットをつけることから始めます。
また、ベッドのすぐ隣にポータブルトイレを設置する方法もあります。
さらに、寝たきりや認知症の人に対しては、就寝前に介護職員が声かけを行ってお手洗いに誘導し、深夜の排泄を防いでいます。

厚生労働省もオムツゼロ運動を後押しするかのように介護報酬を改定し、排泄の支援業務を実施している施設に対しては、報酬が加算されるようになりました。
当初は入所者の尊厳を保つために始められた取り組みでしたが、良い結果が目に見えて現れてくると、介護施設で仕事をしている方の喜びにもつながっているという声もあります。
オムツゼロ運動は介護される側とする側の双方にとって、良い励みとなっているのです。